派遣のワークスタイル

派遣社員から正社員を目指すためにすべきこと

派遣社員にもいろいろなタイプの人がいて、正社員として働くのが嫌で派遣社員になった人もいるかと思います。でも、多くの人は「いずれ正社員に」と考えているのではないでしょうか。

いつ契約終了するか分からない派遣社員よりも、安定した正社員になって生活を楽にしたいですよね。でも、意外とそのためのステップを把握できていない人が多いように感じます。

そこで、ここでは派遣社員から正社員になるためのステップと、そのためにすべきことについてご紹介します。

派遣社員から正社員になるための2つのルート

派遣社員から正社員になるための方法は、大きく分けて2つあります。

  • 紹介予定派遣で派遣社員から正社員を目指す
  • 派遣で働きながら転職活動をする

派遣から正社員になると考えたときには、派遣先で「正社員になってほしい」というのを期待するかもしれませんが、これは引き抜き行為になるので、基本的には禁止されています。派遣先も派遣会社との関係が悪くなるので、まず行うことはありません。

ただし、最初から正社員になることを前提に派遣契約した場合には、引き抜きにならないので、派遣先への就職が認められています。これを制度化したものが紹介予定派遣です。

紹介予定派遣は最長6ヶ月の派遣期間があり、派遣先と派遣社員が同意すれば正社員として迎い入れてもらます。派遣先から派遣会社へは紹介料が払われますので、派遣会社も利益になるというわけです。

もうひとつの方法が、派遣社員として働きながら転職活動をするという方法で、派遣先とはまったく関係のない会社への就職を目指します。それぞれの利点がありますので、個別に説明していきます。

紹介予定派遣は入口が狭い

派遣で働いているときに、最初の面談で落とされた経験のある人は多いかと思いますが、紹介予定派遣はさらに狭き門になります。なぜなら、派遣先は雇うことが前提になっているからです。

紹介予定派遣は実務を通して、その人が職場で役に立つ人なのかどうかをチェックできますが、仕事ができない人や人間関係を築けない人だと分かったら、それだけ時間をロスしたことになります。

ですので、少なくとも書類選考の段階でかなり慎重に人材を選びます。資格と実績をチェックされて、十分にやっていけそうな人でなければ、当然そこで落とされてしまいます。そこを通過しても面談があります。

これはほとんど、就職の面接と変わりません。それよりもほんの少しだけハードルが低い程度です。ですので、紹介予定派遣で派遣に出られるのはほんのひと握りの人だけで、その人たちの多くは普通に就職活動をしても採用されるような人ばかりです。

実際に紹介予定派遣で派遣に出る人数は5万人程度です。派遣社員の数は140万人いるわけですから、いかに狭き門なのか分かりますよね。

転職活動をして正社員を目指すのが理想

紹介予定派遣で正社員になるという方法もありますが、この場合には派遣先を自分も気に入らなくてはいけません。正社員になる前に職場の雰囲気が分かっていいじゃないかと思うかもしれませんが、実際に入ってみると職場の悪いところも見えてきます。

そうなると、そこで正社員になるということに躊躇してしまいます。自分が100%気に入る職場がなんて世の中どこにもないのに、紹介予定派遣ではそれを探してしまう傾向にあります。

本来の目的は「正社員になる」ことなのに、いつの間にか「自分に合った職場で正社員になる」という話に置き換わり、紹介予定派遣を繰り返すことになります。そして最後には疲れてしまって「もう派遣でいい」となるわけです。

そうならないためにも、派遣社員から正社員を目指すなら、転職活動をするのが理想です。もちろん、職場のことが分からないという不安はあります。でも、理想通りの職場なんてどこにもありません。

どの職場も魅力的な部分もあれば、満足できない部分もあります。正社員になるというのは、そういうものを受け入れるということでもあります。理不尽な思いをさせられても、簡単には逃げられないのが正社員です。

まずは、その部分を納得してください。そのうえで、転職サイトなどを活用して派遣を続けながら、就職先を探し続けましょう。

派遣で働きながら転職活動をするときのポイント

  • 同じ職場で最低1年間に派遣に出てから転職活動をする
  • なぜ派遣社員になったかを明確にする
  • なぜ正社員になりたいかを明確にする
  • 派遣先では「正社員で働きたい」ことを伝える

派遣で働きながら転職活動をするときには、上記の3点を意識してください。それぞれどのような点を意識すればいいのかを、詳しく解説していきます。

同じ職場で最低1年間に派遣に出てから転職活動をする

従業員を募集している会社は、仕事ができる人材を求めています。このため、3ヶ月や半年の派遣を繰り返している人は、「派遣先で必要とされなかった人」という印象を与えてしまいます。

もし1年働いていたら、最低限の仕事ができる人という評価になり、2年以上になると、仕事もできて人間関係も築ける人という評価になります。このため、同じ職場で最低1年間は派遣として働いてください。

3ヶ月や半年で転職活動をするというのは、責任がない人という判断をされることもあります。派遣先で貢献していないうちに、転職をするわけですから、正社員になっても同じことをされるかもしれないと思われるわけです。

正社員になるにはタイミングがとても重要です。今の職場で結果を出していないうちに転職活動を始めても逆効果ですので、まずは1年間の実績を積んでから仕事探しをしましょう。

なぜ派遣社員になったかを明確にする

派遣から正社員になるときに聞かれるのは、なぜ派遣を選んでいたのかということです。正社員が嫌で派遣を選んでいたのだとしたら、今さら正社員になっても、すぐに辞めてしまうのではないかと考えるためです。

これに関しては、正直な理由を述べればいいのですが、ネガティブな答えは避けてください。何らかの目標があり、それを叶えるための派遣という働き方が合っていたというストーリーが理想です。

そのうえで、目標を達成した、もしくは目標をに対する方向性が変わったことなどを正社員になりたい理由として伝えれば、派遣で働いてきたことが大きなマイナスになることはありません。

なぜ正社員になりたいかを明確にする

正社員になりたい理由も聞かれます。基本的には「安定した収入」でもいいのですが、この場合には「うちはそんなに給料が高くない」と言われる可能性があります。ですので、「安定した収入」を前提にもうひとつは理由を考えてください。

例えば、「派遣でも仕事そのものにやりがいはあるけど、派遣終了するとそれまでに築いた人間関係がリセットされてしまうことにデメリットを感じた」と伝えれば、派遣を辞める理由も筋が通っていますし、とても前向きな回答になります。

ポイントは「派遣で働いてきたことを否定しない」ことで、それに加えて「派遣ではできないことを実現するために正社員になりたい」と伝えることです。これを自分なりのストーリーを組み立てて、相手に伝えられるようになりましょう。

派遣先では「正社員で働きたい」ことを伝える

派遣中に転職活動をする場合には、実際に動き出す前から「いつかは正社員として働きたい」という思いがあることと、日常会話の中で伝えるようにしましょう。できるだけ自然な感じに伝えるのがベストです。

「正社員として働きたいけど、景気もいまいちで仕事もそんなにないじゃないですか」といった感じで、普段から話しておきましょう。

そうすれば、就職先が決まったときに派遣先に派遣終了を伝えやすくなります。派遣先でも喜んでくれるはずです。ただし、派遣に出る前の面談ではそういう面は見せないようにしてください。

ある程度打ち解けてから伝えるのがポイントです。それも大勢の前で話すのではなく、1対1の会話の中で伝えることが大切です。

焦って伝える必要はありません。普段からコミュニケーションをとっていれば、伝えるチャンスはいくらでもあります。派遣先に出て半年くらいは正社員を目指していることは口に出さず、タイミングをみて少しずつ話しを聞いてもらいましょう。

まとめ

派遣から正社員になるためには紹介予定派遣を使うか、転職サイトを使っての転職のどちらかになります。紹介予定派遣から正社員になれる確率はとても高く、一見すると正社員の近道に思えますが、面談までたどり着くのは簡単ではありません。

しかも派遣に出てみると職場の悪い部分も見えてしまい、正社員になることを躊躇してしまう傾向にあり、派遣期間が無駄になります。正社員を目指すのであれば、派遣での仕事を続けながら転職活動を行うのがおすすめです。

-派遣のワークスタイル