派遣社員は労災かくしをされたときにどう対応すべきなのか

work-1000618_1280

派遣会社と派遣先が労災隠しを行っていたというニュースがありました。派遣社員は労災かくしに対してどのような対応をしていくべきなのでしょうか。

労働新聞社
派遣元・先が共謀して労災かくし 香川県内2労基署が書類送検

派遣先でケガをした派遣社員に対して派遣先と派遣元はケガを把握していたにも関わらず労働災害の申請を行いませんでした。ただし派遣社員に対する補填を行わなければいけないため、健康保険を利用しようとしたため労災を隠しきれずに労災の申請となりました。

目次

労災かくしはめずらしいことではない

joint-fracture-490818_1280

まず注意してもらいたいのは「労災かくしは派遣社員だから起きる」ことではありません。おそらくこの派遣先では正社員の労災かくしもこれまで行われてきていたのでしょう。

正社員の労災かくしはそれほど難しくありません。給料と医療費を会社が払って自宅待機させるか、できる範囲の仕事をしてもらえばいいのですから。

ところが派遣社員の労災かくしは簡単ではありません。誰が派遣社員に対して補填をするのか、働けないあいだの仕事をどうするのか、非常に複雑な要因が絡み合います。

10年前なら派遣社員の契約終了のような強引な手法を使う派遣先もありましたが、このようなことが発覚するのは派遣会社も派遣先も「ちゃんとしなくちゃ」の意識が少しだけ高まっているのかもしれません。

ただ「ちゃんとしなくちゃ」の方向性が間違っています。

労災かくしが起きる理由

art-1192793_1280

労災かくしが起きるのは労災によって無駄な出費が発生するから・・・ではありません。ほとんどの場合が「会社が連続無災害を目標に掲げている」この影響がとてつもなく大きくなります。

製造などの現場でケガや事故は絶対に起こしたくない経営者の思いがあります。だから社員に対して「無災害にするように」呼びかけをします。このプレッシャーは想像以上に大きいもので、管理者たちは小さな災害に対しては「見なかったこと」にします。

連続無災害日数◯日

そんな看板を見たことあるかと思います。無災害なのは結果であるはずなのに、無災害であることを目指すから労災は「なかったこと」にされてしまいます。

これはもう何十年も続いてきた日本企業の姿勢なので、基本的になくなることはないでしょう。それを非難することは簡単ですが、非難しても何も変わりません。

派遣社員は労災に対してどう向き合うか

slip-up-709045_1280

理想はあくまでも「労災認定」してもらうことです。あたりまえすぎて答えにもなっていませんよね。労災認定してくれないから困っているわけです。

しかも今回のように派遣会社は休業の補填をしようとはしています。治療費も払ってもらえ、回復後に派遣元に戻れるなら派遣社員に損はありません。派遣元にしてみれば、連続無災害は継続できます。

上手にごまかし続けたいなら、働いていない派遣社員に対して給料を払い続けるべきでしたが、そんなこと許されるわけもなく、社内での説明もできないでしょう。

派遣社員としてどうするべきかは「損をしないようにしてください」でいいと思います。労災認定を勝ち取りたいという場合は別ですが、ケガをして働けなくなった人に本当に必要なのはその間の補填だけです。

もし損をするような状態なら徹底して争えばいいんです。いえ争う必要もありません「労基署に報告する」の一言で決着がつきます。ただそれは伝家の宝刀ですから、最初から振りかざしていたのではいざというときの武器がなくなります。

手持ちの切り札は使うタイミングを良く考えて使わなくてはいけません。

基本的には分かっていないふりをして、損をしない範囲で派遣先や派遣元の希望通りに合わせてあげましょう。あきらかに損をするとなったときは伝家の宝刀です。

そして労災認定をしなかった派遣会社や派遣先からは補填してもらったあとに静かに去っていきましょう。むやみに争わず離れていくこともときとして派遣社員には必要です。

スポンサーリンク

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次